研究課題/領域番号 |
18H01868
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
AN TOSHU (安東秀) 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (70500031)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | NV中心 / ダイヤモンド / スピン計測 / 原子間力顕微鏡 / 磁気イメージング |
研究実績の概要 |
各項目において必要な要素技術の準備、予備実験を進めた。 (1)「NV中心を含有したバルクダイヤモンドをレーザーカッティングによりマイクロメートルサイズのロッド形状に切り出し原子間力顕微鏡(AFM)探針先端へ接着する方法」において、予め複数のNV中心を含有する数十マイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子をタングステンワイヤー先端に接着し、その後、集束イオンビーム(FIB)を用いて先端曲率を200ナノメートル程までに先鋭化してAFM走査プローブとして用いることに成功した。この走査NV中心プローブを用いたプローブ顕微鏡機構と共焦点光学系の複合装置の開発を進めた。 (2) 「NV中心を含有したナノダイヤモンドをファイバープローブ先端に取り付けた近接場、照射・集光型プローブの開発」において、照射・集光型の近接場光学顕微鏡(SNOM)技術をNV中心プローブに応用する装置の整備を行った。研究期間中に、先端開口径が数十ナノメートルの近接場プローブに約100ナノメートルサイズのナノダイヤモンドを取り付けることは現段階では技術的に時間がかかると判断し、先ず、シングルモードファイバーやマルチモードファイバーのコア位置に数マイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子を取り付ける実験の準備を進めた。 (3)「NV中心寿命の時間分解計測法」についてレーザーとマイクロ波のパルス化による時間分解計測法を整備した。特に、NV中心のスピン状態を初期化するパラメーターを最適化し、NV中心のT1寿命が正確に計測できるように調整を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NV中心を含有する走査プローブ探針の作成法について、当初の計画を修正して、複数のNV中心を含有する数十マイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子をタングステンワイヤー先端に接着し、その後、集束イオンビーム(FIB)を用いて先鋭化する方法を採用することで、順調に所望の走査プローブを制作し研究を進めることができている。 NV中心を含有したナノダイヤモンドをファイバープローブ先端に取り付けた近接場、照射・集光型プローブの開発においても同様に、シングルモードファイバーやマルチモードファイバーのコア位置に数マイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子を取り付けるというマクロサイズの実験に先に取り組むことにより、技術的な課題をクリアできると見積もっている。 NV中心寿命の時間分解計測法についてもレーザーとマイクロ波のパルス化による時間分解計測法を整備することができている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)NV中心を表面近傍に含有するバルクダイヤモンドを走査プローブに用いる当初の計画を推進する。これは、NV中心を表面近傍に含有したバルクダイヤモンドをレーザーカッティングによりマイクロメートルサイズのロッド形状に切り出し、集束イオンビーム(FIB)を用いて先端曲率を200ナノメートル程までに先鋭化する方法を用いる。これにより、計測する試料により近接したNV中心による計測を行うことが可能となり空間分解能の向上に寄与する。 (2)「NV中心を含有したナノダイヤモンドをファイバープローブ先端に取り付けた近接場、照射・集光型プローブの開発」において、シングルモードファイバーやマルチモードファイバーのコア位置に数マイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子を取り付けこれを水晶振動子型AFMへ取り付け、トポグラフィー像と磁気イメージ像を同時に取得することを目指す。 (3)「NV中心寿命の時間分解計測法」についてレーザーとマイクロ波のパルス化による時間分解計測法を整備し、ギガヘルツ帯の振動磁場強度を計測可能なラビ振動やメガヘルツ帯の振動磁場が計測可能なスピンエコー法による時間分解計測を実現し、走査NV中心プローブと複合化する。
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