(1)前年度に装置の開発に成功した、「NV中心を含有したバルクダイヤモンドを原子間力顕微鏡(AFM)探針先端へ接着する方法」において性能の向上を目指した改良を進めた。探針には予めNV中心を含有するマイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子をタングステンワイヤーに接着し、集束イオンビーム(FIB)を用いて先端曲率を数ミクロン程までに先鋭化して用いた。事前にプローブ先端より光学的磁気共鳴信号(ODMR)が計測されることを確認し、走査ダイヤモンドNV中心プローブとして用いた。本プローブはAFMとしても動作しAFM機構には音叉型水晶振動子を用いた。この走査プローブを用いて、磁気ビデオテープ(磁気記録周期1ミクロン)上を走査し、AFMによるトポグラフ像とODMRによる磁気信号の分布をイメージングすることに成功した。さらに、バルクダイヤモンドへのイオン注入により表面下層にNV中心を作成し、レーザーカットとFIB加工により作成した走査NV中心プローブを用いて磁気記録テープ(磁気記録周期約3ミクロン)の磁気パターン構造をイメージングすることにも成功した。この際、空間分解能は約100ナノメートルと見積もられた。 (2) 「NV中心を含有したナノダイヤモンドをファイバープローブ先端に取り付けた近接場、照射・集光型プローブの開発」について、水晶振動子型AFMとファイバープローブを一体化した走査系、光学系、制御系を開発し、先ず、ファイバープローブ先端にマイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子を取り付け励起・蛍光計測が可能な計測系の開発を進めた。
|