研究課題/領域番号 |
18H01883
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 暢伴 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50452404)
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研究分担者 |
荻 博次 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252626)
堀川 敬太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314836)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 半連続膜 / 超音波共鳴法 / 水素センサ / 抵抗スペクトロスコピー / 圧電体 |
研究実績の概要 |
基板上に金属薄膜を成膜すると、島状の組織が形成された後に、島の成長によって島同士が接触・融合し、最終的に連続膜が形成される。この不連続から連続へと形態が変化する過程で、半連続膜という特徴的な電気特性を有する膜が形成される。本研究では、この半連続膜の成膜方法を確立すること、そして、この半連続膜の水素センサへの適用可否を評価することを目的としている。 本年度は、前年度に引き続き成膜条件が半連続膜の形成に与える影響を調べる実験を行った。成膜中の基板温度が半連続膜の形成過程や最終的な形態に与える影響を調べたところ、特定の条件では顕著な変化が生じることが確認された。また、さまざま金属に対して半連続膜の形成過程を観察したところ、金属によっては特徴的な形成過程変化が生じることが確認された。 パラジウム半連続膜の電気抵抗が水素雰囲気下で変化することを利用した水素センサの開発に向けて、さまざまな形態のパラジウム半連続膜を作成し、水素雰囲気下での抵抗変化を測定した。結果として、半連続膜の形態によって抵抗変化率(水素応答性)が大きく変化することが明らかとなった。また、我々が開発した手法を用いて適切なパラジウム半連続膜を作成することで、同様の膜を用いた過去の研究に比べて大きな抵抗変化率が生じることが確認された。さらに、0.25ppmの水素を検出することにも成功した。このように、半連続膜の形成過程に関する知見、パラジウム半連続膜の水素センサへの適用可否に関する知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き基板温度や成膜する金属を変えての実験を行い、半連続膜の形成に関する知見が着実に得られている。また、パラジウム半連続膜の水素センサへの応用に関しても、我々が独自に開発した手法を用いて半連続膜を作製することで、水素センサの能力を高めることが可能であることが確認された。半連続膜の作製手法の確立と半連続膜の水素センサへの応用に向けて、当初の計画通り、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに成膜条件を変えながら半連続膜の形成過程を観察してきたが、実験結果の中には既存のモデルでは説明することができないものがある。そこで、この原因を探求する。また、異なる条件で作成された半連続膜を使って水素検出実験を行い、水素センサに適した半連続膜の探索を行う。以上の結果を踏まえて、半連続膜の水素センサへの適用可否について考察する。
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