研究課題/領域番号 |
18H01896
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
白川 晃 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (00313429)
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研究分担者 |
齋藤 和也 豊田工業大学, 工学部, 教授 (20278394)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ファイバーレーザー / マルチコアファイバー / 位相同期 / ビーム結合 |
研究実績の概要 |
1. 新規マルチコアファイバー(MCF)を見据え、その増幅特性を評価するために既存のYb添加7コアマルチコアフォトニック結晶ファイバー(MCPCF)の増幅特性を評価した。シングルモード出力をレンズ系で最適に結合することで、in-phaseモードを励振、増幅できることを確認した。 2.干渉法によるMCFレーザーのモード解析装置の改良に取り組んだ。偏光の不確定性を解決するために偏光を水平と垂直方向で分別できるようにした。マルチモードファイバーの場合、主要モードに関しては比較的良い精度で解析できることを明らかにした。更にファイバーの曲げ損失と空間モードの依存性について有意な結果を得た。 3. MCFを用いた能動モード同期レーザーによるモード選択の研究を推進した。繰り返し周波数に関して能動モード同期を維持できる許容離調を計算し、励振すべきスーパーモードがその範囲にあり、他のスーパーモードに関してはそれを超えるような条件を明らかにした。それを元に能動モード同期Yb添加19コアMCFレーザーを構築し、音響光学変調器を用いた変調周波数同調によるスーパーモード選択に取り組んだ。遠視野像・近視野像いずれも変化し励振するスーパーモードの割合が変化することは確認できたが、単一スーパーモードの選択までには至らなかった。 4.可飽和吸収体による位相同期モード同期MCFレーザー実現を目指し、半導体可飽和吸収体鏡と単一コアのYb添加ファイバーを用いたリニアな共振器において、適切な偏光とフィルターを用いることで、安定な単一パルス動作モード同期発振を得ることができた。 5. 深層強化学習によるファイバー増幅器のコヒーレントビーム結合の残留位相雑音は、PIDを用いた従来手法と同等であることを示した。この手法をMCF増幅に適用できないかシミュレーション研究を行った。遠視野像からリワード関数を得ることにより、4コア、6コア、7コア、19コアで同手法の適用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度から繰り越した新規ファイバー作製についてはYb添加コアのプリフォーム作製まではできたが、ファイバー作製までは至っていない。 他の研究課題は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
新規マルチコアファイバー作製は、私の友人であるシンガポールの南洋工科大学のファイバー研究者が強く興味を持って下さり、共同研究の形で作製を実現したい。 能動モード同期レーザーによるモード選択については、今年度は同様の空間モード選択が期待できるマルチモードファイバーレーザーで実証を目指す。それ自体も原理的には新しく、またマルチコア特有の問題を分離できる。 可飽和吸収体によるモード同期発振を、Yb添加7コアマルチコアフォトニック結晶ファイバーを用いて実験を行う。位相同期モード同期の初実証およびまたピークパワーの増大を目指す。 企業よりEr添加マルチコアファイバーの貸与を受け、深層強化学習によるマルチコアファイバー増幅のコヒーレントビーム結合の実験的な実証を目指す。
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