研究実績の概要 |
光の極限制御技術[M. Katsuragawa and K. Yoshii, PRA, 95, 033846 (2017)]を駆使し,約400アト秒(as = 10^-18 s)の パルス幅,約4 フェムト秒(fs = 10^-15 s)の繰り返し時間を有す,任意の光電場波形を形成できる「光電場の任意波形発生器(Optical function generator: OFG)」の開発を目指し研究を行った. 本研究の意義は,本手法が伝統的なパルス圧縮法が持つ弱点を克服できる点にある.まず,空間的に光を分散させる必要が無く,空間モードを高品質に保つことができる.次に,ガラスや結晶などの無垢の透明媒質のみを用いるため適用帯域が非常に広く,同時に高いダメージ閾値を有する.これらの特徴は,このパルス圧縮法が非常にシンプルかつ堅牢であり,発生するアト秒パルスの高出力化が可能であることを約束する.アト秒時間領域の非線形現象を容易に発現できると予想される. 今年度の実施計画に基づき結果以下に示す研究実績を挙げた.波長1064 nmの注入同期型Q-swiched Nd:YAGレーザー(Surelite-I, Amplitude社)から出力されるナノ秒パルス光を導入し,これを基本波光源として準備を整えた.また,光周波数標準(ヨウ素安定化Nd:YAGレーザー)に安定化されたErファイバー光周波数コムに注入同期用シードレーザーをロックする.これによりフリーランニングと比較し数千倍の周波数安定度向上と長期的なCEP制御を行った. これらに関わる成果を国際雑誌5本,国際会議7件,国内学会10件で報告した.
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