研究課題
・バルク光メタマテリアル作製装置の改良:前年度に設けた真空蒸着装置内の基板の回転機構は、回転させるために真空を破りチャンバーを開ける必要があった。今年度、外部からコントロール可能なステッピングモータをチャンバー内設置することで真空を破ることなく任意の角度に基板を回転させることができるようになり、スプリットリング共振器(SRR)作製の作業効率と安定性が向上した。・有限差分時間領域(FDTD)法を用いた電磁シミュレーションで、任意形状のメタ原子から成るメタマテリアルの振幅透過係数と振幅反射係数スペクトルを求め、転送行列から導出した式を用いて、メタマテリアルの実効屈折率や実効誘電率、実効透磁率スペクトルを得る計算ルーチンを構築した。これにより、任意形状のSRRやロッドなどのメタ原子を想定したメタマテリアルの実効屈折率スペクトルなどの予測が可能になった。この手法を用いることで、我々が作製可能な形状の銀SRRから成るメタマテリアルが、波長1300nm付近の実効透磁率が負になることを明らかにした。また、SRR2次元メタマテリアル薄膜における実効透磁率スペクトルのSRR形状依存性を明らかにした。・実効比誘電率,実効比透磁率計測波長範囲の拡張:メタマテリアル薄膜の実効屈折率を評価するためのマッハツェンダー干渉測定光学系を改良し、波長420~1000nmで垂直入射における実効屈折率を測定するための光学系を構築した。
3: やや遅れている
蒸着装置改良に時間がかかり、2次元光メタマテリアル薄膜の量産に至っていない。
これまで作製された2次元光メタマテリアルの光学特性やシミュレーションを基に、負屈折率バルクメタマテリアルに適したメタ原子を選定する。バルクメタマテリアルの実現には、1万枚以上の2次元光メタマテリアルを作製し積層しなければならないので、それらの作製と積層工程の効率化を図った上で、量産体制に移行する。また、作製予定のバルクメタマテリアルを想定した光学特性シミュレーションを行い、特異光学現象を肉眼で確認することに適したメタマテリアル形状や観測方法を決定しておく。最後に、作製したバルクメタマテリアルを用いて、特異光学現象のデモンストレーションを行う。
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