研究課題/領域番号 |
18H01911
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
浅井 圭介 東北大学, 工学研究科, 教授 (60231859)
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研究分担者 |
越水 正典 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40374962)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 重粒子線 / 線エネルギー付与 / 励起状態間相互作用 / シンチレーション / 熱蛍光 |
研究実績の概要 |
今年度は、時間的挙動と空間的挙動を、同一の放射線誘起蛍光体に対して解析した。時間的挙動については、シンチレーション時間プロファイルの測定により、空間的挙動については、熱蛍光測定により、それぞれ行った。ほとんどの放射線誘起蛍光体は、シンチレーションと熱蛍光の双方を示すため、同一の試料に対する解析が可能である。なお、これらの解析手法は、申請者らの最近の研究により、既に確立されている。 【1 時間的挙動】 量研機構TIARAのAVFサイクロトロンを用い、パルス重粒子線ビームを用いたシンチレーション時間プロファイルの測定を通じて解析した。時間プロファイルの立ち上がりおよび減衰におけるLET依存性を解析した。その結果、発光中心タイプのものでは立ち上がりにおいて、自己賦活型のものでは減衰挙動においても、励起状態間相互作用の影響が生じていることが明らかとなった。 【2 空間的挙動】 量研機構放医研のHIMACを用いて、重粒子線を照射し、その後の熱蛍光グロー曲線(加熱温度の関数としての熱蛍光強度)を観測した。LETに依存したグロー曲線と、異なるγ線・X線線量で計測したグロー曲線との比較から、重粒子線の飛跡近傍での局所的なエネルギー付与密度を求め、その値から電子・正孔対の拡散距離を求めた。フッ化物については、数十nmの拡散距離が得られた。一方で、酸化物の場合には、LET依存性と線量依存性とが相反する結果となった。この結果については、現在考察を進めているものの、酸化物については、一筋縄ではいかない結果が得られつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間および空間挙動についての定量的な解析に共に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度について、主にハロゲン化物を対象とした研究を進める。この系では、正孔は自己束縛状態を形成するため、空間挙動については類似したLET依存性が観測されると想定している。
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