研究課題/領域番号 |
18H01914
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
塚原 剛彦 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (10401126)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超臨界抽出 / マイクロ化学システム / 分離 |
研究実績の概要 |
合理的で安全性の高い核燃料サイクルを実現するには効率的な核種分離が欠かせない。しかし汎用的分離法には、操作の複雑さ、二次廃棄物生成、爆発等の懸念といった問題があり、新しい分離技術の確立が望まれる。そこで本研究では、比界面積や物質の輸送効率が極めて大きい数10 nm~ 数100 umのマイクロ・ナノ流路内で、超臨界二酸化炭素(scCO2)を反応媒体として希少金属元素を分離回収しうる“超臨界マイクロ流体化学システム”の技術と方法論を創成することを目的とする。 本年度は、マイクロ水/scCO2流体制御の確立を目指す。石英基板上にトップダウン的に加工したマイクロ流路内の任意の位置にボトムアップ的に無機ナノ構造物を加工し、構造物上にハイドロカーボン及びハイドロフルオロカーボンを固定化した。特に、ハイドロフルオロカーボン固定化基板では、水の接触角が120°以上となり、流路表面を撥水化させることができた。この撥水表面に水は濡れず、scCO2への親和性が高まると期待できる。また、作製したマイクロ流路内に水相とscCO2を導入するための高圧流体システムの構築を行った。マイクロ化学チップはSUS製の高圧ジグ及びSUS配管で接続されており、HPLCポンプと背圧調整器で流量を調整でき、かつ、ペルチェ素子にてマイクロ化学チップを直接温度制御することが可能である。これにより、温度40℃、圧力15MPaのscCO2相と水相とを同時にマイクロ流路内に送液することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、マイクロ流路内で水/scCO2の様々な流れを実現すると共に、その流体条件を最適化することまでを目標としていた。しかし、マイクロ流路内で高圧scCO2を取り扱うことは想定以上に難しく、高圧流体システムの構築そのものに時間がかかったため、進捗が遅れ気味となった。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロ流路内で水/scCO2の平行二相流、プラグやエマルジョン流等の様々な流れを実現すると共に、液滴と流路の形状・性状およびscCO2の送液圧力や流速との関係を明らかにする。また、金属元素(例えば、アルカリ・アルカリ土類、白金族類、オキソ酸類、ランタノイド・アクチノイド)のscCO2バルク抽出試験を実施して、それぞれの金属元素に対する抽出条件や抽出剤の最適化を図る。
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