合理的で安全性の高い核燃料サイクルを実現には効率的な核種分離が欠かせない。しかし汎用的分離法には、操作の複雑さ、二次廃棄物生成、爆発等の懸念といった問題があり、新しい分離技術の確立が望まれる。そこで本研究では、比界面積や物質の輸送効率が極めて大きい数10 nm~ 数100 umのマイクロ・ナノ流路内で、超臨界二酸化炭素(scCO2)を反応媒体として希少金属元素を分離回収しうる“超臨界マイクロ流体化学システム”の技術と方法論を創成することを目的とする。具体的には、流路の形状・性状が異なるマイクロ流路でscCO2/水セグメント流を形成させ、そのscCO2/水界面で標的金属元素の抽出を行う。また、抽出後のscCO2相を出口部にてCO2ガスと抽出錯体を分離することで、無廃棄物分離回収を実証することを目的とする。 本年度は、半導体加工技術を用いて作製したマイクロ流路及びマイクロチューブ内に、高圧送液ポンプを用いて水相とscCO2相を同時に導入すると共に、マイクロ流路内で水/scCO2のエマルジョン流やプラグ流を形成する条件を検討した。その結果、温度40℃、圧力15~25MPaの範囲で水/scCO2マイクロ流体が形成でき、出口側に減圧弁及び油水セパレーターを配置することにより、水相とscCO2相とを分離回収できる技術を確立した。 また、流路表面をハイドロフルオロカーボンにて修飾することにより、水相の撥水性は高まる半面、scCO2相の濡れ性は極めて高くなるため、水/scCO2のマイクロプラグ流の安定性が向上することも分かった。
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