研究課題/領域番号 |
18H01926
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
水永 秀樹 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40226246)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 流体流動電磁法 / 資源流体の可視化 / 物理探査 / 電磁探査 / リアルタイムモニタリング |
研究実績の概要 |
地熱発電の持続的な利用のためには、地熱貯留層中の地熱流体(地熱蒸気や地熱水)の時間変化の把握、つまりモニタリング技術が必要である。また、石油貯留層中から石油・天然ガスなどを効率的に生産するためにも、石油貯留層中の石油・天然ガスの動的把握は、重要な課題である。これらの地下の資源流体をモニタリングする方法として、重力探査や弾性波探査などの繰り返し測定があるが、これらの方法は、数ヶ月や数年単位の長期間のモニタリング技術である。それに対して、数分または数時間単位の短期間のモニタリングを目的とした手法は未だに確立していない。このような短期間でも地下資源流体のモニタリングを目的として、流体流動電磁法を発明した(特許は取得済み)。 流体流動電磁法は、地下の資源流体の流動によって生じる電磁場応答を測定することによって、地下流体の動的挙動を可視化しようとするモニタリング物理探査法である。地下の資源流体が何らかの原因で流動すると、固液境界面で発生する界面動電現象により流動電流が発生する。この電流が地上での電位の変化である流動電位をもたらす。また、流動電流が発生すれば、その周囲に右ネジの方向の磁場が発生する。ただし、地下流体の流動によって生じる電磁場変化は微小であり、高精度な磁場と電場の測定が求められる。当該年度は、流体流動電磁法の測定システムに搭載したMIセンサの測定感度をテストするため、漏水が推定されているダムで、流電電磁法の試験調査を実施した。その結果、数nTレベルの磁場を精度良く測定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響でフィールド調査が制限されたが、幸い、非常事態宣言の合間を縫ってフィールド実験を実施することができた。プロトタイプ機の設計も順調で、今回の磁場センサの試験実験を無事終了することができた。その結果、MIセンサが測定対象とする流動電流による磁場を測定するのに十分な感度を有することを確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度で磁場センサの試験実験が実施できたので、今後は微小な電場を高精度で測定できる測定基板を設計・試作する予定である。
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