研究課題
本研究では、省エネルギー化、低炭素化への貢献が期待される超伝導電力機器の最適構造設計において必要不可欠となる高温超伝導線材の電界-電流密度特性を、複数の計測手法を取り入れることにより広範な実用領域に亘り、精密に評価することを目的としている。本年度に得られた主な成果は以下のとおりである。(1)物理特性測定システムによる直流磁化測定により、磁場中臨界電流特性の評価を行った。磁場掃引速度を1[Oe/sec]から100[Oe/sec]まで変化させることにより、直流四端子法による通電測定で得られる電界以下に相当する100[nV/m]から0.01[mV/m]での電界-電流密度特性を得た。磁化測定による臨界電流密度の算出は、試料面内の均一性の担保が要求されることから、走査型磁気顕微鏡を用いて面内臨界電流密度分布を計測している。(2)更に低い電界での電界-電流密度特性を得るため、直流磁化の緩和特性を測定した。これにより、数[pV/m]から100[nV/m]の5桁にわたる電界領域の特性を得た。(3)直流四端子法による通電測定において、高電界領域の特性を得るため、パルス通電の条件最適化および銅板による分流通電法の導入を実施した。これにより、0.1[V/m]を超える高電界領域の電界-電流密度特性を得た。以上の成果により、数[pV/m]から0.1[V/m]程度の約10桁以上にわたる電界-電流密度特性の計測を実現した。また、磁化法と通電法との整合性についても検証を行い、磁化法における見かけ上の臨界電流密度と、臨界電流密度の面内不均一性との関係を定性的に明らかとした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Superconductor Science and Technology
巻: 33 ページ: 64005
10.1088/1361-6668/ab89ef