日本の領海・排他的経済水域は国土面積に比べて12倍程度と広く、海底鉱物資源・メタンハイドレート掘削、CO2を海底地層に圧入して大規模削減を目指すCCS、石油などのエネルギー資源を輸送する海底パイプラインなどの有効な海底利用が実施・計画されている。海底開発では資源探査手法だけでなく海洋生態系・環境への影響評価が必要とされているが、現状の採取・採水測定では頻度とエリアに限度があり、海中での効率的なモニタリング手法の開発が必要である。そこで、海底を効率よくモニタリングするために、レーザーを用いたリモートセンシング技術であるライダーを利用した海中モニタリング技術を開発する。水中のガスや油などのラマン信号から3次元マッピング観測を行い、効率的な海中モニタリングを目指している。 これまでに、現有の技術シーズである水中ラマンライダーの海中モニタリングへの適用可能性を検証するために、長水槽の中に設置した油のラマン分光法による遠隔計測試験を実施している。2910 cm-1のC-Hの対称伸縮モードを利用して、水中で4 m離れた油の検出に成功したが、ラマンスペクトルによる物質の識別と定量評価のみであり、油の位置情報の取得は行えてなかった。そこで、R2年度は油の位置情報も取得可能なラマンライダーシステムを開発した。ライダーシステムは海上観測を容易とするために、小型・可搬型のものとし、水中で6 m先にある油の位置と濃度情報を取得することに成功した。
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