現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の、積層不整のないice Icを得るという成果は、Nature Communications誌のEditor's highlightに選出されたほか、最近、Nature Materials誌のNews&Viesでも紹介された (C.G. Salzmann & B.J. Murray, Nature Materials, 19, 581-589, 2020)。ice Icは、冷凍食品や宇宙空間など、普遍的に存在するため、その純粋な単体が得られたという成果は極めてインパクトの強いものである。研究開始当初は、積層不整のないice Icが存在すること自体に懐疑的な研究者も多かった。しかし、本成果の発表日と同日に、別の研究グループからも積層不整のないice Icが我々とは異なる方法で合成できることが発表された(del Rosso et al., Nat. Mater. 19, 663-668, 2020)ため、ice Icの存在自体は確立されたように思う。2つの独立した研究グループが、異なる方法で積層不整のないice Icを確認する、という事態は、研究開始当初には想定しておらず、今後、世界的にice Icに関する研究が加速していくものと思われる。今後の氷の物理化学の進展を考える上で、本成果はマイルストーンになりうる重要な成果であるため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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