研究課題/領域番号 |
18H01937
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 宏之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (60390655)
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研究分担者 |
石北 央 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00508111)
石崎 章仁 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 教授 (60636207)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 有機太陽電池 / シングレット・フィッション / 光合成 / 励起子 / 電荷分離 / アップコンバージョン |
研究実績の概要 |
分子集合体中で一重項励起子から2つの三重項励起子が生成するシングレット・フィッションは太陽電池等への応用が期待されている。ルブレン結晶で観察される長距離の励起子拡散はシングレット・フィッションで生じた三重項励起子の拡散によると考えられる。だが、ルブレン結晶のc軸方向は分子軌道の重なりが小さく、Dexter機構(電子交換)による三重項移動では長距離の励起子拡散を説明できない。本研究では、第一原理計算でパラメータ決定した動的モンテカルロ法により、励起子移動、脱励起、シングレット・フィッション、triplet-triplet annihilation (TTA)を考慮してルブレン結晶中の励起子拡散を解析した。三重項励起子の衝突によるTTAで一重項励起子が生成すると、フェルスター機構によるc軸方向への拡散が起こる。シングレット・フィッションが脱励起を抑制し励起子寿命を延ばすとともに、TTAにアシストされたc軸方向の拡散により、実験で観察されるμmオーダーの長距離拡散が起こることが分かった。 光合成系では、光アンテナ系の光吸収で生成した励起子が反応中心へと移動して電子と正孔へ電荷分離する。紅色光合成細菌と光化学系IIの反応中心は擬C2対称構造を持つタンパク―色素複合体から成る。ここで、擬C2対称構造の片側のブランチのみで電荷分離が進行することが知られているが、その反応経路を決定する要因は明らかとなっていない。本研究では、紅色光合成細菌と光化学系IIの反応中心での電荷分離機構を理論的に解析した。紅色光合成細菌では、M側への電子移動はエネルギー的に起こり得ないことがTDDFT計算で示された。光化学系IIでは、ChlD1上の励起子からフェオフィチン(PheoD1)への電子移動が起こり、続いてPD1への正孔移動が起こることがTDDFT計算で示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子集合体集の電子・励起子移動、シングレット・フィッション、アップコンバージョンの機構の理論研究が進展し、論文発表している。また、光合成の電荷分離機構の理論研究が進展し論文を投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、分子集合体中の電子・励起子移動、シングレット・フィッション、アップコンバージョン、及び光合成系の電子・励起エネルギー移動の理論研究を進める。特に光合成系の反応中心における励起子ダイナミックスやカロテノイドによる活性酸素の除去機構の理論研究を進める。
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