本研究では,水和効果がイオンチャネルのイオン選択性に直接的かつ本質的な役割を果たしている可能性があることが示された。金属イオンの高い電荷密度は生体にとってタンパク質の高次構造を破壊する有害なものであり,水和は遮蔽効果により電荷を中和するのに役立っている。イオン選択過程においても,水和のその様な役割は不可欠であるが,それをうまく調整して利用することでイオン選択が達成できているらしい。本研究の結果は,イオンチャネルに関わる基礎的な生物学・化学だけでなく,超分子や創薬などの人工分子の設計にも資する知的基盤を提供するものと期待される。
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