研究課題
固体触媒をはじめとする固体機能性材料中の元素の分布、化学状態、局所構造等の構造パラメータの空間分布や時間発展を明らかにする空間分解・時間分解XAFSイメージング計測を通じて、固体材料の反応特性を生み出す構造因子を可視化することを目的としている。平成30年度は、以下の2つの研究を行った。(1)高回折効率ゾーンプレートを用いた結像型顕微XAFS計測系を立ち上げ、樹状型酸化鉄結晶およびCrをドープした酸化鉄結晶における相転移過程の2次元XAFSイメージングを行った。結像型顕微XAFS計測システム、データ解析システムを立ち上げ、異なる反応条件で処理を行った酸化鉄結晶に対して、結像型顕微XAFSイメージング計測を行い、結晶中の結晶相の分布を2次元的に可視化した。Crのドープによる結晶相分布の違いを解析することに成功した。(2)CT法とタイコグラフィーXAFS計測を組み合わせた3次元CT-スペクトロタイコグラフィー法によって、排ガス浄化触媒の担体材料であるセリア-ジルコニア複合酸化物中における酸素拡散の様子を可視化した。3次元空間の各点におけるCe量や価数の構造パラメータセットを、教師なし学習を取り入れたデータマイニングによって解析し、Ceの分布や価数分布、酸素吸蔵進行度、表面からの幾何学的な距離などのパラメータ間の相関を解析することで、セリア-ジルコニア複合酸化物中における酸素吸蔵過程の反応軌跡に関する情報を得ることに成功した。(3)CT-XAFSの解析プログラムの開発を行い、電池材料等の機能性材料の3次元XAFSイメージングへの展開を行った。
2: おおむね順調に進展している
平成30年度に計画した研究は、成果があがり、いずれも原著論文として国際誌に投稿・掲載決定済である。また新しく見つかった成果についても、継続的に研究を続けている状況にある。
既に得られた結果については、実験データの解析や追加検討を更に進め、全て学術論文として報告する予定である。また、これまでの研究を基に新しい系についてもイメージングXAFS計測をスタートさせており、今後も継続して成果を挙げられるように研究を進めていく。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 7件、 招待講演 8件)
Chemical Record
巻: 19 ページ: in press
10.1002/tcr.20180123
Coommunication Chemistry
巻: 2 ページ: in press
10.1038/s42004-019-0147-y