研究課題
3年度目は、レーザー照射によって炭素材料、金属ナノ粒子の局所合成を行い、合成した機能性材料の応用と物性評価を行った。グラフェンは半導体であるが、バンドギャップが存在しないことがデバイス化の障壁となっている。グラフェンのデバイス応用に向けては、そのバンドギャップを精密に制御することが重要である。本課題ではグラフェンにバンドギャップを導入する方法として、水中でレーザー照射することで光酸化する方法を試みた。水中で波長532nmのレーザーをグラフェンに照射すると、グラフェンの酸化に伴うD-bandが出現した。D-bandが観測される範囲は直径300nm程度であり、ナノサイズの半導体細線が描けることが明らかとなった。この方法では、グラフェンの任意の位置にバンドギャップを有する酸化グラフェンを作成することが可能であり、デバイス作成法として有望な方法になると期待される。生細胞中の任意の点におけるpHを分析する方法は細胞の状態を分析するために重要な技術である。本課題では金属ナノワイヤーを使用したpH測定法の開発を行った。塩化金酸溶液中で銀ナノワイヤにレーザーを照射すると、照射点で銀ナノワイヤ上に金ナノ粒子が析出した。この金ナノ粒子はプラズモン共鳴に由来する表面増強ラマン散乱(SERS)活性を示す。金ナノ粒子を4-mba(4-メルカプト安息香酸)で修飾すると、4-mbaのカルボキシル基がpHに応答してプロトンを放出する。このプロトン放出をSERSシグナルで観測することで局所的なpHを測定することが可能である。4-mbaで修飾した金析出銀ナノワイヤーを細胞内に挿入することで、細胞内の任意の位置でのpHを検出することに成功した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemical Communications
巻: 56 ページ: 9651~9654
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