研究課題/領域番号 |
18H01951
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
生駒 忠昭 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10212804)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 磁気インピーダンス / 有機太陽電池 / 荷電キャリア / 励起子 / 空間電荷 / スピン角運動量保存的ダイナミクス / 磁気静電効果 / 磁気伝導効果 |
研究実績の概要 |
複雑な内部構造をもつ有機デバイスが、通常の動作環境においてどのような励起子・キャリアダイナミクスを示すかを明らかにするため、研究初年度は新規なオペランド計測法である磁気インピーダンス分光装置の立ち上げを主に行った。 本研究に必要な広帯域インピーダンスアナライザーと電子スピン共鳴用クライオスタットを購入した。磁気インピーダンス分光装置の立ち上げでは、インピーダンスアナライザーの広い周波数帯域を活かしながら、電磁石の漏洩磁場がアナライザーに影響を抑える工夫を凝らした。具体的には、4つの活性領域を有する素子を磁極間の狭小空間に設置でき、各活性領域についている電極に伝送線(合計10本の同軸ケーブル)を取り付けられる非磁性アタッチメントを設計・製作した。また、RC並列試験回路を用いて計測系全体の最適化を行った。電子スピン共鳴用クライオスタットの立ち上げでは、熱電対の初期不良や現有する温度コントローラーとの通信の不具合によるヒーターの断線等の予期せぬ問題が発生した。温度コントローラーの制御回路の修正やヒーターの修理によって正常に温度制御できる目途をつけることできた。 素子を作成途中で大気に暴露させないようにするために、現有する真空蒸着装置に装着できる試料輸送システムを設計し作製した。試料輸送システムの導入により電極酸化が抑えられ、耐久性の高い素子を作製することができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規に購入したインピーダンスアナライザーの導入によって、これまで計測できなかった周波数領域の静電容量ならび電気伝導度を計測することに成功した。また、素子の劣化速度を著しく遅くすることに成功した。これは今後の磁気インピーダンス実験にとって本質的に重要な課題を克服したことになる。一方、試料輸送システムとクライオスタットの故障が続き、研究が予想以上に進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
広帯域インピーダンス計測システムの構築ならびにクライオスタットの修理を行い、実験環境を整えたうえで、種々の太陽電池に関する磁気インピーダンス分光実験を行う。
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