研究課題/領域番号 |
18H01954
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮本 幸治 広島大学, 放射光科学研究センター, 准教授 (50508067)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光誘起スピン電流 / スピン分解光電子分光 / スピン軌道相互作用 / 光スピントロニクス |
研究実績の概要 |
本研究は、光励起で生成される正孔(光誘起スピン偏極電気伝導の源) と光電子の一対一対応に着目し、これまで明らかとなっていない光の入射角・偏光依存性によるスピン偏極電流のスピン方位・偏極度を、スピン分解光電子分光法を用いて明らかにすることを目的としている。H30年度までに光の入射角を変更するシステムの設計を終え、H31年度はそれを既存の装置に組込むことを最初に行った。 まずは、光の入射方向を変更するための新型6軸低温マニュピュレーターを導入し動作チェックを行った。その結果、6軸のオート機構は正常に動作することは確認できたが、50K以下の低温時になると、マニュピュレーターの真空漏れが生じることが分かった。本研究で用いている光電子分光法は極高真空化での実感が必須であり、このような真空漏れは研究の妨げになるため、現在は、このマニュピュレーターの低温ロッドを再度作成している最中である。 また、H30年度に破損した6eVレーザーを修理し、低温リークがあるため低温測定できない6軸マニュピュレーターを用いて、室温で、トポロジカル絶縁体Bi2Se3やBi2Te3のスピン分解光電子測定を行った。その結果、接線方向のスピン方向について、明瞭な電子スピン構造を観測することに成功した。しかしながら、この確認測定の最中に6eVレーザーの出力が急激に低下したため、未だ、研究もク的である光の入射ク・偏光依存性によるスピン偏極電流のスピン方位・偏極度の決定については至っていない。現在、レーザー光源の修理・検査を海外メーカに打診中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
H30年度に物品納入の送れとともに、H31年度では新型マニュピュレーターの低温時のリークおよびレーザー光源の強度の不安定性さなどがあり、測定に遅れが生じている。最終的にレーザー光源がまた破損したため、現在作成メーカーがイタリアにあるため新型コロナによる影響によりかなり、進歩状況が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
低温マニュピュレーターのリーク漏れの改善チェック・レーザーの修理などを早期に終え、Bi2Se3などの試料を用いて光スピン偏極電流のスピン方位の決定を行う予定である。
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