研究課題
電子供与体と受容体は、基底状態において弱い相互作用を示し、可視光領域に電荷移動吸収帯を有する電荷移動錯体を生成する。この波長選択的な光励起により励起電荷移動錯体が生成するが、これまでの研究でこの励起種が通常のエキシプレックスとは異なる励起種であり、特異な光反応性、立体選択性を示すことが明らかとなっている。本年度は、励起三重項状態の関与するキラル光反応、具体的にはナフトキノンへのアルケンの分子内付加反応において、電荷移動励起を検討するとともにキラルルイス酸の配位効果を検討した。天然物などに多く存在する複雑な多環式化合物を高い立体選択性で生成可能となれば合成反応としても有意義であり、その立体選択性の支配因子を解明することが重要である。具体的な成果としては、予測した通常の環化生成物に加え、交差型の極めて特異な多環式化合物が比較的高い収率で生成していることをX線結晶構造などの解析により明らかとした。また、生成物の絶対配置を円二色スペクトルなどの検討により決定することができた。ルイス酸の配位は基底状態では共同的であるが、励起状態では錯形成能が低下する傾向が見られた。このため、適切な濃度のルイス酸を添加することで、立体選択性を高めることに成功し、最大70%ee程度にまで向上することが可能となった。関連研究はNature Communication誌など7報の論文で報告した。本研究の主たる成果の全容は論文として投稿中であり、掲載が待たれる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)
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