有機合成化学において、第四級不斉炭素の構築は立体障害のために困難であり、これを克服する新手法の開発が求められている。本研究は、独自の第四級不斉炭素構築法を設計し、これが有用な有機合成手法であることを、天然物の全合成において実証しようとするものである。 標的化合物としては、医薬品や農薬のリードとして期待されるものの他、社会的な意義をもつ天然物を選んだ。その結果として、毒キノコの毒成分に共通して含まれる天然物ベルカロールを従来例より遥かに効率的に全合成する成果が得られた。また、ホスホリパーゼC の特異的阻害剤であるヒスピドスペルミジンの短段階全合成にも成功した。
|