研究課題/領域番号 |
18H01976
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 教授 (90213636)
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研究分担者 |
岡本 和紘 京都大学, 工学研究科, 助教 (30552658)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ニトレン / 二環性ヘテロサイクル / 不斉合成 / ボリレン / シリレン |
研究実績の概要 |
第15族エレメンテンであるニトレンの前駆体を設計合成し、ニトレンの遷移金属錯体の形で発生させ、続く環化反応によりその有効性を確認した。すなわち、 ニトレン前駆体として様々な置換様式のイソオキサゾールを利用し、第8~10族遷移金属の様々な触媒による不飽和基質との[3+2]型の 分子間反応を調査した。その結果、パラジウムやコバルト触媒を用いた時に、シクロプロパンを含む二環性ヘテロサイクルのデヒドロアミジン類が得られることが明らかになった。 また、この反応の条件を詳細に検討したところ、コバルト触媒のハロアニオンを変えることで、二環性アジリジンが主生成物として選択的に得られることを明らかにした。従って、前述した反応がハロアニオンの影響により2段階目の異性化を経て進行していることを突き止めることができた。 さらに、これらの成果をQuinoxP*のようなキラルジホスフィン配位子を用いる不斉反応へと展開し、 光学活性な二環性デヒドロアミジン類や二環性アジリジン類の効率的不斉合成法を確立した。 ボリレンやシリレン等の新規エレメンテン前駆体の設計に着手し、様々な前駆体を合成した。安定的供給が可能で、取り扱いの容易な前駆体の合成ルートの確立は一応達成しているが、収率等の点で改善も必要である。したがって、前駆体の安定供給が完了する最終年度は、反応性に関する検討を本格化させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シリレンとボリレン前駆体の合成は、最終段階に差し掛かっているが、純度の高い前駆体を得る精製方法を考案中である。
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今後の研究の推進方策 |
イソオキサゾールやオキサジアゾールをニトレン前駆体とした分子内ニトレン移動反応を見出したので、それらの分子間反応開発へと展開する。触媒は第9族を中心に検討する。また、イソオキサゾロンからのニトレン発生法では、新たに二環性シクロプロパンが得られることを見出したため、その触媒的不斉反応への展開を図る。 また、シリレンとボリレンの関与する新規環化反応の開発を大きく前進させたい。
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