研究実績の概要 |
我々は1,10-フェナントロリン型配位子をもつパラジウム触媒を用いたチェーンウォーキングを経る1,n-ジエン類のヒドロシリル化環化反応を開発してきた。本反応の開発により、基質上の離れた位置での連続的結合形成を行うことが可能となった。そこで、この反応の発展型として、パラジウム触媒を用いた1,n-ジエン類の環化ヒドロホウ素化に関する検討を行った。反応条件最適化の検討の結果、当初の予想に反し、ホウ素の導入位置の異なる生成物の副生が確認され、また収率の更なる向上が困難となっていることがわかった。詳細な反応検討の結果、ボリル基導入後にパラジウム触媒をチェーンウォーキングにより離れた位置へ移動させることが困難であること、ヒドロボランとアルキル金属種のσ結合メタセシスの位置選択性が、ヒドロシランの場合と比較してあまり高くないことを示唆する結果を得た。
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