本研究は、強固なSi-Cl結合の酸化的付加反応を鍵とするクロロシラン類の触媒的分子変換技術の開発と、学術的に未解明なSi-Cl結合の酸化的付加反応の機構解明に取り組んだ。検討の結果、電子豊富なニッケルを触媒とするHeck反応により、ポリクロロシランの選択的モノアルケニル化を達成した。また、ニッケルまたはパラジウムとリン系配位子の組み合わせにより、汎用性の高いアルキルアルミをカップリングパートナーとする選択的なクロロシランのアルキル化反応を見出した。本反応を用いることで、これまで従来法では合成困難であった有機基を含むクロロシラン類を効率的に合成することが可能となった。
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