数個から数十個の金属原子が集まった金属クラスター化合物は、分子より一回り大きいサイズ領域に位置するナノ物質の一つであり、化学センサーや触媒などへの機能化の鍵となる物質候補として期待されている。こうした機能の開拓には、金属骨格と有機物との相互作用の理解が必須であるが現状では未解明な部分が多い。本研究は、金属骨格と芳香族π電子系の間にはたらく相互作用を基礎的見地から調査し、実際にそうした相互作用が存在することを支持する結果を得た。こうした弱い相互作用を包括的に理解、活用することで、戦略的な材料開発が可能になると期待される。
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