研究課題
基盤研究(B)
本研究では、遷移元素とアルカリ金属元素を併せもつ多核錯体の合成と機能化に取り組んだ。この様な多核錯体は、遷移金属元素は電子豊富な酸化還元特性をもつ活性中心として、アルカリ金属元素はルイス酸中心として分子内に共存することで二官能性反応場として機能することを明らかにした。例えば、チタンとカリウムを含む多核錯体に窒素分子と二酸化炭素を作用させることにより、N-C結合形成が進行し、ヒドラジン化合物が生成することを見出した。
錯体化学
多様な酸化状態をとることができる遷移金属イオンとルイス酸として作用するアルカリ金属イオンを分子内で近傍に配置した多核金属錯体が、窒素分子のような反応性の低い物質の活性化に効果的に働くことを本研究で明らかにした。アルカリ金属イオンや溶媒を適切に選択することにより、そのルイス酸としての性質を系統的に変化させることができる。これにより、多核錯体の化学特性を制御することが可能であり、多様な分子変換を実現することが期待でき、学術的に興味深い。