研究課題/領域番号 |
18H01993
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
村橋 哲郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40314380)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 金属クラスター / 有機金属錯体 / 環状不飽和炭化水素配位子 |
研究実績の概要 |
サンドイッチ錯体は、有機金属錯体の特徴を顕著に示し、さらに安定かつ修飾が容易な金属錯体構造を与えることから、最も有用な錯体分子構造の一つとして単核金属錯体の分子設計に広く利用されている。本研究では、このサンドイッチ型分子構造の概念を拡張し、金属クラスターを内包する「サンドイッチクラスター」および「ライスボールクラスター」を創成してその化学を発展させることを目指し、研究を進めている。 本年度は、配位子交換活性サンドイッチクラスターの開発を進めた。シクロオクタテトラエンを背面架橋配位子として用いて反応活性な3核クラスターを合成する手法の開発をおこない、多環式芳香族類や5員環ヘテロアレーン類を3核架橋配位座に導入しその結合構造を明らかにすることに成功した。さらに、大環状シクロノナテトラエニル配位子を用いた3核および4核クラスターの合成と反応性に関する研究も進め、ハーフサンドイッチクラスターの合成に成功するとともに、サンドイッチクラスターのエカトリアル・エッジサイトにゼロ価金属種が可逆的に付加・脱離することを見出した。 ライスボールクラスターの創製についての研究も進めた。その結果、シクロヘプタトリエニル配位子を用いてライスボール型13核遷移金属クラスターを合成することに成功し、ライスボールクラスターの分子構造を初めて解明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、サンドイッチ型分子構造の概念を拡張し、金属クラスターを内包する「サンドイッチクラスター」および「ライスボールクラスター」を創成してその化学を発展させることを目指して研究を遂行している。平成30年度の研究により、配位子置換活性なサンドイッチクラスターの特異な基質受容性の解明が順調に進行している。さらに、ライスボールクラスターの化学合成に初めて成功してその分子構造を解明し、本研究の遂行における鍵となる知見を初年度に得ることができた。よって、本研究は当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究により、配位子置換活性なサンドイッチクラスターの化学に関する基礎的知見が順調に得られていることから、これらの知見を基にして、サンドイッチクラスターの反応化学について開発を進めていく。また、ライスボールクラスターの化学合成と分子構造解明について成功したことから、今後はライスボールクラスターの反応性や性質の解明を進めていく。
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