サンドイッチ錯体は、有機金属錯体の特徴を顕著に示し、さらに安定かつ修飾が容易な金属錯体構造を与えることから、最も有用な錯体分子構造の一つとして単核金属錯体の分子設計に広く利用されている。本研究では、このサンドイッチ型分子構造の概念を拡張し、金属クラスターを内包するサンドイッチクラスターおよびライスボールクラスターを創成してその化学を発展させることを目指して研究を遂行した。 本年度では、前年度に引き続き、配位子交換活性なサンドイッチクラスターの開発を進めた結果、シクロオクタテトラエンにより背面をサポートされた3核サンドイッチクラスターを用いることにより、5員環ヘテロ芳香環であるチオフェン及びセレノフェンを3核架橋配位座で捕捉したクラスターを合成・単離することに成功し、その架橋配位構造をX線構造解析により明らかにした。さらに、7員環シクロヘプタトリエニルが包囲型で配位したライスボール型ナノクラスターの合成および反応性解明を進め、酸化条件下で、シクロヘプタトリエニル配位子の交換反応を起こすことを見出した。
|