研究課題
本課題では、Hofmann 型多孔性金属錯体 {Fe(pz)[Pt(CN)4]} (1) を基軸化合物として、分子包接体内の束縛分子の状態変化を物理的変数として捉え、束縛分子の温度・密度制御による自由度の制御を通して、骨格の磁性および発光特性との動的連動を達成を目指した。最終年度は、以下の ①-③ を推進した。①アルカン分子包接体内のアルカンの挙動と磁気特性の相関の解明:プロパン包接体の磁気的な非平衡状態に関しては、昇温過程において磁化率の温度変化の速度依存性を詳細に測定することで、温度変化が速いと4段階で磁化率が上昇するが、遅い場合は二段階目の後に減少に転じることがわかった。この速度依存性と各状態のエネルギー解析より、非平衡状態に関係する準安定スピン状態を考察した。②I2 の細孔内挙動の解明及び磁気特性との相関:1のI2, Br2およびIBr包接体の構造および磁気特性を比較した。CCl4の懸濁液中でのハロゲンの吸着速度およびTGAにおけるハロゲンの脱離温度は、IBr>I2>Br2 であり、極性分子であるIBrが1と強く相互作用していることが示唆された。室温においてI2包接体は高スピン、Br2とIBrの包接体は半分が低スピン状態であった。温度を下げると I2 包接体は大きなヒステリシスを伴うスピン転移を200-300Kで示した。一方、Br2包接体は70K付近でスピン転移を示したが、IBr包接体は変化しなかった。これらの結果から、ハロゲンのサイズ、骨格との相互作用および磁気挙動の相関を検討した。③束縛分子の挙動と発光特性の相関:新たに合成したCd(pyCN)2[ReN(CN)4]においてゲスト分子吸脱着に伴って、基底状態は変化せず、励起状態が変化することで大きな発光シフトが起きる機構を見出し、励起状態の時間分解IRスペクトルからゲスト分子の影響を考察した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 8件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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