研究課題/領域番号 |
18H01998
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
島田 透 弘前大学, 教育学部, 講師 (40450283)
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研究分担者 |
長谷川 健 京都大学, 化学研究所, 教授 (30258123)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 表面増強赤外吸収 / 非共鳴増強機構 / 多角入射分解分光法 / ナノ周期配列 / リソグラフィー |
研究実績の概要 |
本研究は、金属ナノ構造の表面に吸着した化学種で観測される表面増強赤外吸収(SEIRA)の非共鳴増強に焦点を絞り、その機構を明らかにすることを目的に進めている。
平成30年度は、非共鳴増強機構の解明に必要な(1)フーリエ変換型赤外分光光度計(FT-IR)の導入及び多角入射分解分光法(MAIRS)の立ち上げ、(2)広い面積を占めるナノ周期配列の作製法の確立を中心に取り組んだ。(1)に関しては、Thermo Scientific社から装置を購入し立ち上げを行った。MAIRS法の確認は、ステアリン酸カドミウムのラングミュア・ブロジェット膜(LB膜)を測定し、文献とよく一致する赤外吸収スペクトルが得られることを確認した。(2)に関しては、シリコン基板上に電子ビームリソグラフィー法によりマスクを作製し、その基板をエッチングもしくは金属蒸着することで進めた。作製には、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業に参画する東京大学超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点の、電子線描画装置(アドバンテスト F7000S-VD02)、汎用性プラズマエッチング装置(アルバック CE-300I)および真空蒸着装置(NSP)を用いた作製を試みた。作製したナノ構造の詳細な評価は、弘前大学の機器分析センター所有の走査電子顕微鏡(日本電子JSM-7000F)を用いて行った。シリコンのエッチング構造に関しては、設計した構造よりも若干大きなサイズとなってしまったが、設計通りの形状の周期配列が作製できたことを確認した。金属蒸着構造に関しては、本年度に検討した作製条件では、中心部と周辺部とでナノ構造にバラつきが出てしまうことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の主たる目的であった装置の立ち上げと広い面積を占めるシリコンのナノ周期配列の作製法の確立が行えたため、おおむね当初の計画通りに進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、作製に成功したシリコンのナノ周期配列上に試料を作製、実際のMAIRS測定に取り掛かる。また、本年度の課題として残された広い面積を占める金属のナノ周期配列の作製法の確立を引き続き目指す。
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