研究実績の概要 |
申請者は現在までに可溶性タンパク質であるトロンビンを標的とし、MACE を分離・洗浄工程として導入した核酸アプタマー選抜(MACE-SELEX)に成功している。本研究課題では、MACE-SELEX を用いて低分子量化合物、中分子量化合物(短鎖ペプチド)、非可溶性膜タンパク質(プロテオリポソーム)を標的分子としてMACE-SELEX を実行し、各標的分子に対する核酸アプタマーを獲得することを目的としている。本年度は、本研究目的を遂行する過程で、以下の5つの研究成果が得られた。 【1】獲得した核酸アプタマーの高次構造解析(パラレル型Gカルテット構造の同定)を、従来法の放射性同位体標識を用いる手法を用いずに、分光学的手法のみで測定できる手法を考案した(Analyst, 143, 4022, 2018)。 【2】標的分子と結合すると大きな蛍光強度変化を示す蛍光修飾DNAアプタマーのスクリーニング法を確立した(Anal.Sci.,35,113, 2019)。 【3】蛍光性小分子に結合する RNA アプタマーの構造最適化に成功した。塩基変異を導入した三又構造が、RNAセンシングに有益な高次構造であることを明らかとした(RNA, 25, 590, 2019)。 【4】MACE-SELEXで獲得した DNA アプタマーを用いる血液凝固制御/中和アプタマーシステムを構築した。獲得したアプタマーとtoeholdを導入した中和剤配列を併用し、血液凝固抑制を迅速に解除・制御するアプタマーシステムを構築した(Mol. Ther. Nucleic Acids, 16, 348, 2019)。 【5】非天然型修飾核酸ライブラリーに対する MACE-SELEX に成功した。(Anal. Sci., 35, 585, 2019)。
|