研究課題/領域番号 |
18H02011
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渥美 正太 北海道大学, 国際連携研究教育局, 准教授 (00712275)
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研究分担者 |
堀 千明 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50722948)
高須賀 太一 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (70748409)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イソブタノール生産 / 代謝工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、褐藻に含まれる多糖の分解とイソブタノール生産能力を兼ね備える新規大腸菌株の作出を目的とし、研究を実施している。本研究目的達成のため、1)大腸菌菌体外での褐藻分解酵素生産システムと2)菌体内におけるイソブタノール生産システムの構築を行っている。 標的とする褐藻中には、グルコースを主成分とするラミナリン糖鎖、マニトール単糖に加え、アルギン酸糖鎖が多く含まれているが、これまでの研究から、ラミナリン糖鎖分解を効率よく行う酵素は見出している。アルギン酸糖鎖の分解については、本研究課題の1つであり、アルギン酸ポリマーからオリゴアルギン酸に分解する5種類の糖質分解酵素PL18酵素のクローニング・タンパク質合成が完了している。また、オリゴアルギン酸からアルギン酸単糖(DEHU)への分解を行うため、2種類の糖質分解酵素PL17について遺伝子合成を行い、現在クローニング中である。 褐藻中アルギン酸分解産物の単糖(DEHU)については、大腸菌の菌体内に取り込む輸送システムを構築する必要があったため、先行研究で報告されていたDEHU輸送体をコードする3つの候補遺伝子を遺伝子合成した。また、菌体内においてDEHUをイソブタノールに変換するための遺伝子の選別および遺伝子配列デザインと、遺伝子合成を完了している。 上記の酵素種をコードした遺伝子をインストールするための、大腸菌株についても獲得しており、今年度は、合成した遺伝子を随時、大腸菌株に挿入していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、本研究で使用する目的遺伝子をすべて選抜し、遺伝子配列デザインと遺伝子合成を完了した。今後の研究では、これら遺伝子を組換え用大腸菌に挿入し、褐藻分解能力とイソブタノール生産能力について評価する予定であり、本研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、褐藻に含まれる多糖の分解とイソブタノール生産能力を兼ね備える新規大腸菌株の作出を目的とし、研究を実施している。本研究目的達成のため、1)大腸菌菌体外での褐藻分解酵素生産システムと2)菌体内におけるイソブタノール生産システムの構築を行っている。今後の研究では、1)大腸菌菌体外で発現予定の糖質酵素については、生化学的手法を用いて分解活性、至適反応条件および最終分解産物を評価し、褐藻成分の酵素加水分解の効率を最適化する。また、2)菌体内へのDEHU取り込みとイソブタノール生産については、設計した代謝経路に基づいて遺伝子を大腸菌菌体に挿入し、培養試験を実施する事で、得られる表現系から評価していく。
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