研究実績の概要 |
マリンバイオマスである褐藻から有用化学製品を合成するために、モデルバクテリアである大腸菌に新たな代謝経路をデザインし、主要褐藻成分の1つであるアルギン酸モノマー(4-deoxy-L-erythro-5-hexoseulose uronic acid (DEHU) )から1,4-butanediolを合成する合成生物学的手法を試みた。当初予定していた代謝経路は、DEHU還元酵素によってDEHUを5-Keto-4-deoxy-D-glucarate(KDG)に触媒後、中心代謝経路へつなげる経路だったが、DEHU還元酵素がDEHUから想定していたKDGを生産しないことが明らかになったため、DEHU還元酵素の酸化反応を利用する事にした。DEHU還元酵素の酸化反応については、Flabobacterium sp. strain Umi-01株において最近報告がある事から、実施妥当と考えた(Nishiyama et al., Commun Biol., 2021)。したがって、DEHUの酸化によって生じる2-keto-3-deoxy-D-glucarate(KDGR)から2,5-dioxopentanoateの脱水反応を触媒する酵素を新たに遺伝子合成し、当該大腸菌に導入した。これまでの結果から、本菌がDEHU存在下で生育する事を確認しており、DEHUから1,4-butanediolが生成されるか検証する準備が整った。
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