研究課題/領域番号 |
18H02013
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
勝又 英之 三重大学, 工学研究科, 准教授 (10335143)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | グラファイト状窒化炭素 / 分子内修飾 / 非金属ドープ / 可視光 / 水分解 |
研究実績の概要 |
クリーンな水素生成技術として、太陽光の主成分である400 nm以上の可視光を吸収して、水を効率良く分解する光触媒反応系の構築が望まれている。光触媒高活性化に関するアプローチの一つとして、ヘテロ接合の形成がある。しかし、ヘテロ接合の構築がその界面でのみ作用するため、電子-正孔対の分離の促進は限定的である。そこで本研究では、炭素と窒素のみで構成されているグラファイト状窒化炭素光触媒のトリアジン環平面内に、直接異種構造を導入する分子内修飾法を確立することを目的としている。さらに非金属ドーピングという構造修飾と組み合わせることにより、新たな可視光応答活性の発現をねらい、水素生成に対する実用レベルの光触媒の構築を目指している。 本年度は、昨年度合成した光触媒を用いて水素生成活性評価と量子収率測定を行い、最適なドーピングユニットを決定した。その結果、フロログルシノールが最適なドーピングユニットであることが分った。さらに、ドーピング濃度等を最適化した結果、分子内修飾をしていない窒化炭素の水素生成活性と比較すると、約2倍の向上が確認された。光触媒の安定性を検討した結果、30時間の光照射後も安定した水素生成速度が得られた。また、光照射後の光触媒の構造を解析した結果、未使用のものとほぼ変化がないことが確認された。 続いて、最適化された分子内修飾グラファイト窒化炭素の光触媒活性の更なる向上を目指し、非金属元素ドーピング法を模索した。検討する非金属は、ホウ素、酸素、リンであった。これら光触媒の水素生成活性を調査したところ、リンをドーピングすることが最も最適であることが分った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度合成したベンゼン環を分子内修飾させたグラファイト状窒化炭素の光触媒的水素生成を行い、活性促進が確認できた。また、さらに非金属をドーピングすることに成功した。このことは、当初の予定通りであり、概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、合成した光触媒を用いて水素生成活性評価と量子収率測定を詳細に行い、最適なリン源や濃度を決定する。また、最適化された分子内修飾グラファイト窒化炭素の光触媒について、構造解析を行い、更なる活性向上に向けた知見を得る。
|