研究課題/領域番号 |
18H02021
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
井原 栄治 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90243592)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ジアゾ酢酸エステル / ポリ(置換メチレン) / 機能性高分子 / 官能基集積効果 / パラジウム錯体 |
研究実績の概要 |
前年度に開発に成功したナフトキノンを配位子とするPd錯体を用いた新たな開始剤系に関して、得られたポリマーの末端構造の解析を行い、その結果に基づきこの重合系の開始および停止反応の機構を明らかにした。さらに、ナフトキノンと共にホスフィンやピリジンを配位子として有するPd錯体の合成と、それらの結晶構造解析を行った。現在、その錯体構造と重合活性との関係を考察することによる、さらに高活性を示す開始剤系の開発に取り組んでいる。 光学活性な置換基を有するモノマーを重合して得られるポリマーへのらせん構造の誘起を試みたが、立体構造がアタクチックなポリマーでは、巻き方向に関して高選択的ならせん構造の誘起は困難であった。そこで、新たに開発に成功した立体構造の制御が可能な開始剤系を用いた、光学活性なモノマーの重合によるらせん構造の誘起を現在試みている。 初年度に本研究の経費で購入した光散乱検出器の活用によって、デンドロンやグルコースを置換基として有するモノマーの重合により、分子量5万以上の高分子量ポリマーが得られていることが明らかとなった。デンドロンの周辺部に極性官能基としてカルボキシル基を有するポリマーを合成し、そのpH応答性を調査した結果、ポリ(置換メチレン)の剛直な主鎖構造の影響により、同じ置換基を有するビニルポリマーとは異なる応答性を示すことを明らかにした。 ピレンを置換基として有するモノマーの連鎖移動を利用したオリゴメリゼーションにより得られた生成物のHPLCによる精製によって、立体構造の明確な4種の4量体オリゴマーの単離に成功した。この各オリゴマーの結晶構造解析による構造の同定に取り組んでいる。その構造解析結果に基づく、光物性の詳細な解析や、NMR測定によるポリマーの立体構造の解析手法の確立を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように、研究計画に従って、研究を遂行し、結果として期待した研究成果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、当初の研究計画どおりに研究を遂行していく予定である。その目的を達成するにあたって、特に問題は発生していない。
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