高分子融液が基板上に展開する挙動は、今日でも不明な点が多い。もし展開挙動を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて分子鎖レベルで直接観察することができれば、高分子表面現象の理解が大きく進むと考えらる。本研究では、イソタクチックポリメタクリル酸メチル(it-PMMA)/オリゴ(MMA)ブレンドの液滴がマイカ上に展開する際にその先端に生じるプレカーサーフィルムをAFMを用いて実時間、その場観察し、プレカーサーフィルム中を流れるit-PMMA分子の流動挙動を観察することに成功した。液滴およびその中を流れるit-PMMA分子の流動挙動は、湿度の影響を大きく受け、その依存性についても明らかにした。
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