研究課題/領域番号 |
18H02027
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 崇匡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70456151)
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研究分担者 |
片島 拓弥 大阪大学, 理学研究科, 助教 (20759188)
赤木 友紀 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (40782751)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高分子ゲル / ゴム弾性 / エントロピー弾性 / エネルギー弾性 / ゲル弾性 |
研究実績の概要 |
一般に、高分子鎖は、主鎖原子間の結合距離や結合角を変えることなく、結合の立体配座を変えるだけで、変形することが可能である。すなわち、変形の際には、結合距離や結合角に由来するエネルギー変化は大きくなく、立体配座の場合の数に由来するエントロピー変化が大きいと考えられている。これが、高分子ゲルやエラストマーなどの高分子網目からなる材料が軟らかく、よく伸びる要因である。この、高い変形性は高分子材料だけが持つ特異な物性であり、高分子材料を金属などの硬い材料と差別化している。 この弾性様式はエントロピー弾性と呼ばれ、弾性率(G)と温度(T)の正比例関係(G ~ T)を予測する。しかしながら、我々は、汎用的な高分子であるポリエチレングリコール(PEG)と水からなるゲルにおいて、GとTは正比例関係になく、正比例からのずれは高分子濃度が低いときに顕著であることを明らかにした。また、見かけ上弾性が消失する温度(消失温度)が存在し、消失温度は高分子濃度の低下に伴い高温側にシフトすることが明らかになった。一方で、濃厚な極限においては、消失温度は絶対零度に漸近し、純エントロピー弾性的に振る舞うことが示された。これらの結果は、溶媒による希釈がゲルにおけるエネルギー弾性の起源であることを強く示唆している。今後は、他の系についても同様の実験を行い、この現象の一般性について検証するとともに、純エントロピー弾性からなる古典的な「ゴム弾性」と「ゲル弾性」の本質的な違いを明確にすることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進行しており、本年度中には本計画の骨子となる論文を投稿することできる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
PEG-水系ゲルについては、一定の理解に至り、論文化を進めている。今後は、PDMS-シリコーンオイル系ゲルなどにおいても、同様の実験を行う。一連の実験を通して、一般性の確認を行い、ゲル弾性の骨子を確立する予定である。
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