今後の研究の推進方策 |
今後は金属触媒粒子との界面構築およびデバイス評価を中心に行う。金属触媒としてPt, PtCo, Ni, FeNi(およびそれらが導電性カーボン担体に担持されたもの)を選定し、2-3nm程度の粒径が揃ったナノ粒子(市販または一般的なコロイド法などにより調製)を用いる。電解質の被覆方法は、これまでの燃料電池研究において蓄積してきた知見を応用する。具体的には電解質と触媒粒子を電解質が溶解する有機溶媒中で混合比率(電解質/触媒=0.2~1.0 w/w)を変化させながら超音波混合し、一連の被覆触媒を調製する。高分子電解質が溶解する場合にはテトラヒドロフランや低級アルコールなどの低粘性で界面張力の小さな低沸点溶媒をできる限り使用し、触媒上への超薄膜被覆と緻密な界面構造形成を試みる。触媒被覆状態は低加速TEM(研究室に既設)を用いて観測し、触媒粒子上の電解質の厚さや均一性などを解析するとともに、被覆条件との相関を明らかにする。本研究で開発される高分子イオニクス材料は様々なエネルギーデバイスへの応用が期待できるが、限られた期間でそのポテンシャルを明らかにするために、研究代表者と連携研究者がこれまで評価の経験と実績を有する (a)酸型燃料電池、(b)アルカリ形燃料電池、(c)全固体バナジウム二次電池、に焦点を絞る。前年度の成果を元に、それぞれのデバイスに相応しい電解質薄膜と電極触媒層の組み合わせを選定して評価を行う。
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