研究課題
本研究推進の基盤として、核となる無機ナノ粒子としてSiO2を選択した。シリカナノ粒子はテトラエトキシシランの分解反応により合成した。得られたシリカナノ粒子の平均粒径はDLS測定により36nmと見積もられた。TEM観察により得られた平均粒径も36nmであり、メタノール中においてシリカナノ粒子は単分散していると考えられる。このシリカナノ粒子の表面にリンカー配位子(TPPO-Si(OEt)3)(TPPO: triphenylphosphine oxide)を通してEu(hfa)3錯体を固定化したSiO2-Eu錯体は平均粒径53nmと見積もられた。TEMのEDS測定では、粒子表面のEu元素の存在が明らかとなり、シリカナノ粒子表面にEu(hfa)3錯体が固定化されていることが明らかになった。発光スペクトルの電気双極子遷移(J=2)の強度はSiO2-Eu錯体が最も大きく、Eu(III)イオン周りの配位構造が非対称化していることが明らかになった。発光スペクトルと発光寿命測定から放射速度定数を算出し、発光量子効率の計算を行ったところ、SiO2-Eu錯体の発光量子効率は93%と見積もられた。一方、原料であるEu(hfa)3(H2O)2およびEu(hfa)3(TPPO-Si(OEt)3)2の発光量子効率はそれぞれ28%および58%となった。速度解析を行なったところ、SiO2-Eu錯体の高い発光量子効率は大きな放射速度定数と小さな無放射速度定数によって達成されていることがわかった。本研究により、無機ナノ粒子表面への希土類錯体の固定化に関する基盤研究を達成することに成功した。さらに、有機添加剤を用いることにより、シリカナノ粒子表面上へ希土類配位高分子を固定化できる可能性を見出すことができた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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