研究課題/領域番号 |
18H02048
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安田 琢麿 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (00401175)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光機能 / メゾ空間 / 有機エレクトロニクス / 有機半導体 / デバイス |
研究実績の概要 |
本研究では、従来の孤立分散系や単なる非晶性薄膜では実現できなかった発光機能を開拓し、有機発光材料の新パラダイムの創出を目指している。特に、メゾ階層領域における分子集積・配向構造を能動的に設計・制御するアプローチにより、濃度消光フリー熱活性化遅延蛍光材料、分子内エキシプレックス発光材料などの創出と実デバイスとしての機能検証を進めている。 今年度は、励起三重項状態から一重項状態への効率的逆項間交差が可能で、かつ高い発光量子収率を示すドナー・アクセプター型熱活性化遅延蛍光分子の系統的探索を実施した。熱活性化遅延蛍光における濃度消光は励起三重項を介したDexter機構に基づくエネルギー移動が支配的であり、分子間電子交換を防ぐようにメゾ構造を構築することで濃度消光フリーな熱活性化遅延蛍光材料・デバイスが実現可能であることを明らかにした。得られた新知見を発展させ、幾つかの分子系においてメカニズムの一般性・普遍性の検証を行った。分子構造と光物理特性の関係を系統的に調査することで、分散系・凝集系によらず多様な集合形態においても励起エネルギーをロス無く発光に利用可能な発光分子システムを構築することができた。これらの発光分子システムは、単に高効率な有機発光ダイオードの発光材料としてだけでなく、三重項励起エネルギーをロス無く一重項へと変換できる優れた三重項増感機能を有しており、この点に関してさらなる機能化の検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱活性化遅延蛍光における濃度消光機構を解明し、濃度消光フリーな熱活性化遅延蛍光材料・デバイスを実証できている。さらに、メカニズムの一般性・普遍性の検証を行うことができており、計画通りの順調な進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は計画通りの順調な進捗状況であり、今後も研究計画に従って研究を推進する。
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