研究課題/領域番号 |
18H02056
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中西 和樹 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (00188989)
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研究分担者 |
金森 主祥 京都大学, 理学研究科, 助教 (60452265)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MOF / 階層的多孔構造 / 自己集合 / 相分離 / 細孔構造 |
研究実績の概要 |
金属塩前駆体および相分離誘起剤を用いた相分離を伴うゾルゲル法によって、MOF修飾およびMOF結晶化の基材となる酸化物多孔体モノリスの精密な細孔構造制御を試みた。従来、相分離誘起剤として水素結合相互作用の強いカルボキシやアミド側鎖を有する高分子試薬を共存させた出発組成を頻用してきたが、これらの高分子試薬はゲル多孔体の骨格に占める体積分率が高いため、熱処理に伴う体積収縮と酸化分解過程において細孔構造が崩壊するという問題が見いだされた。これを解決するために反応系の組成を抜本的に見直し、溶媒組成中の水の濃度を低くし、比較的低極性溶媒に溶解しかつゲル骨格相に多量に分配されない相分離誘起剤を探索するとともに、MOF析出の実験に耐えうる均一かつ十分な連続性をもった細孔構造を得る方法を試行した。 その結果非プロトン極性溶媒であるDMFを主成分とし、ポリプロピレンオキシドなど低極性の高分子を共存させる、金属塩前駆体由来の新規なゾルゲル法によって、従来に遜色のない制御された連続貫通マクロ孔構造と、ゲル骨格内部のメソ・マイクロ孔を有する酸化物ゲルを、鉄およびクロムなどの系で作製できることが明らかになった。これに並行して、ジルコニウムに直接配位するテレフタル酸系配位子を用いて、多孔構造をもつ金属有機ゲルの作製にも着手した。また、亜鉛や銅などの2価の酸化物が安定な組成において、同様に配位結合的な相互作用の強い相分離誘起剤を用いて、マクロ多孔性酸化物ゲルの作製を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の酸化物多孔体合成が計画通りに進まず、半年間の繰り越しを行って必要な構造の多孔体の作製法を再度探索した。その結果MOF結晶化に適した酸化物多孔体の合成方法が見いだされ、繰越後は当初予定から大きく遅れることなく研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
マクロ孔をもつ酸化物ゲルの細孔表面へのMOF結晶析出実験、および金属有機ゲルからの直接MOF転化を主なターゲットとして、引続き材料系のバリエーションを増やし、構造制御および物性制御の点から最も有用な組成と反応条件を確定する。
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