研究実績の概要 |
Preyssler型リンタングステート(Phosphotungstate: PTA)と呼ばれるリン(P)とタングステン(W)の複合酸化物分子([P5W30O110M(n+)](15-n)-, Mは内包金属(Na, Ca, Bi, 希土類))において、骨格元素および内包金属の種類を変えた新規化合物の合成と、工業的にも使われるKeggin型PTAを越える触媒活性、伝導性およびウイルス染色能力を持つ新しいPTA無機材料をPreyssler型PTAを用いて開発することが本研究の目的です。 初年度である平成30年度は、この化合物に関する新しい2種類の化合物の合成および構造解析に取り組みました。(1)分子の中心にNaが1つ入った新しい化合物([P5W30O110Na]14-)の合成および構造解析(単結晶構造解析、高分解能質量分析、赤外分光、元素分析、31P NMR、183W NMR)に成功しました。(2)骨格のWの一部をMoに置換した化合物([P5W30-xMoxO110Na]14-)の合成および質量分析および赤外分光を用いた構造解析に成功しました。 更に、Biを内包した化合物([P5W30O110Bi]12-)からKを2つ内包した化合物([P5W30O110K2]13-)への変換の際に副生する化合物が、Biが2つの1欠損ケギン型PTA([Bi(PW11O39)2]11-)であることを単結晶構造解析、質量分析、赤外分光、元素分析、31P NMRおよび183W NMRなどの分析を用いて証明することに成功しました。([P5W30O110Bi]12-)の分子構造が反応溶液中で1部分解していることを見出しました。
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