研究課題/領域番号 |
18H02058
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
定金 正洋 広島大学, 工学研究科, 教授 (10342792)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ポリオキソメタレート / Preyssler型 / リンタングステート |
研究実績の概要 |
Preyssler型リンタングステート(Phosphotungstate: PTA)と呼ばれるリン(P)とタングステン(W)の複合酸化物分子([P5W30O110M8n+)](15-n)-, Mは内包金属)において、骨格元素および内包金属の種類を変えた新規化合物の合成と、工業的にも使われるKeggin型PTAを超える触媒活性、伝導性およびウイルス染色能力を持つ新しいPTA無機材料をPreyssler型PTAを用いて開発することが本研究の目的である。 2年目である平成31年度は、初年度で得られた結果をさらに発展させて、以下5つの結果が得られた。(1)ナトリウムを含有したPreyssler化合物のプロトン体を様々なメソポーラスシリカ材料へ担持した材料の合成と構造解析に成功した。また、エタノールからエチレン合成に活性を示すことを見出した。(2)ナトリウムを含有したPreyssler化合物を固体状態で加熱することで内包されたナトリウムが移動することを見出した。また、この移動により生成した化合物の単離および構造解析に成功した。また、このナトリウムが分子内で移動し、メモリ材料として使える可能性も示した。(3)ユーロピウムが内包した化合物を固体状態で加熱することで中のユーロピウムが分子外に出ること、また、カリウム対カチオンが入ることを見出した。また、この方法で得られた化合物が高いプロトン伝導性を示すことを見出だした。(4)Preyssler化合物の骨格タングステンをモリブデンに置換した化合物の合成および構造解析に成功した。(5)新たなタングステン酸化物分子の構造解析に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以下5つの結果が得られ、学術論文および特許の申請までに至っている。(1)ナトリウムを含有したPreyssler化合物のプロトン体を様々なメソポーラスシリカ材料へ担持した材料の合成と構造解析に成功した。また、エタノールからエチレン合成に活性を示すことを見出した。(2)ナトリウムを含有したPreyssler化合物を固体状態で加熱することで内包されたナトリウムが移動することを見出した。また、この移動により生成した化合物の単離および構造解析に成功した。また、このナトリウムが分子内で移動し、メモリ材料として使える可能性も示した。(3)ユーロピウムが内包した化合物を固体状態で加熱することで中のユーロピウムが分子外に出ること、また、カリウム対カチオンが入ることを見出した。また、この方法で得られた化合物が高いプロトン伝導性を示すことを見出だした。(4)Preyssler化合物の骨格タングステンをモリブデンに置換した化合物の合成および構造解析に成功した。(5)新たなタングステン酸化物分子の構造解析に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた知見をさらに発展させて新しい化合物の探査に加えて、触媒材料、プロトン伝導材料、メモリ材料としての応用検討を継続する。予定していた研究の中で唯一順調に進んでいないのが、Preyssler型化合物の対カチオンを変えることで不溶化して不均一系触媒として応用するというものであるが、対カチオンを最も不溶化しやすいと考えられるセシウムに絞って、詳細に混合量を検討することで不溶化しやすい条件を検討する。
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