研究実績の概要 |
Cu/In仕込みモル比の異なるCIS/ZnS量子ドット(QDs)の分散液試料は、白色光下ではCu/In比を低下させることで無色透明に近づき、365 nmのUV照射下ではいずれも黄色蛍光を示した。CIS/ZnS分散液試料の吸収スペクトルからTaucプロットを作成し、バンドギャップ(Eg)を算出した。仕込みモル比Cu/In=1/4, 1/8, 1/10で合成したCIS/ZnSのEgはそれぞれ2.75 eV、2.90 eV、3.00 eVであり、Cu/In比を低下させることでEgが増大した。元素組成分析を行うと、仕込みモル比Cu/In=1/4, 1/8, 1/10で合成したCIS/ZnSの組成はCu/In=1/5.0, 1/7.8, 1/12.0であり、QDsのCu/In組成は仕込みモル比に対応していた。このことからEgの変化はQDsのCu/In組成の変化に起因すると考えられる。仕込みモル比Cu/In=1/4, 1/8, 1/10で合成したCIS/ZnSの絶対蛍光量子収率(PLQY)はそれぞれ19%、24%、24%であった。原料の仕込みモル比をCu/In=1/10とし、シェル剤を2回添加して合成したCIS/ZnS/ZnS分散液試料は、白色光下で薄い黄色であり、UV照射下では黄色蛍光を示した。CIS/ZnS/ZnS分散液試料の吸収スペクトルからEgを算出すると2.96 eVであり、シェル剤を2回添加することによってEgに大きな変化は見られなかった。絶対PLQYを測定すると30%であった。シェル剤を2回添加することにより絶対PLQYが向上したのは、より効果的に表面欠陥がパッシベートされたことに起因すると考えられる。試作したCIS/ZnS/ZnSを分散したエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)波長変換膜について、QDsは透明にEVA膜中に分散し、UV照射下で膜は黄色蛍光を示した。
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