研究課題/領域番号 |
18H02070
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中村 龍平 東京工業大学, 地球生命研究所, 教授 (10447419)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水素エネルギー / 人工光合成 / 電気分解 / 元素戦略 |
研究実績の概要 |
非金属を用いた水電解触媒の開発は、テラワットスケールでの再生利用エネルギーの導入に向けて不可欠な課題である。その候補の一つに、Mn酸化物触媒がある。Mn酸化物を用いた酸素発生触媒の開発においては、反応中間体であるMn3+の電子状態の制御がカギとなる。特に、酸性や中性pHにおいては、Mn3+のMn2+とMn4+へ不均化反応が進行し、活性が大きく低下する。また、不均化が進行することで、触媒からMnイオンの溶出が進み、安定性が大きく低下する。本課題では、これを解決する戦略として、構造歪の導入によるMn3+の安定化を提案している。本年度は、マンガン酸化物の合成条件を制御することで構造歪みの大きさを制御し、上記戦略の実証を試みた。
Mn酸化物に構造歪みを導入する手法として、数あるマンガン酸化物結晶相の中でも、構造歪みの精密制御が可能であり、Microtwinning構造を有するガンマ型MnO2を主要な触媒材料として検討を進めてきた。新たに、電析法を用いてガンマ型MnO2を導電性基板上に合成し、電析に関わる条件を制御することで(1×1)と(1×2)構造の比を制御した。
オペランド分光を用いた中間体検出より、構造比に伴い、マンガン酸化物の安定電位領域が変化することを見出した。そして、安定電位領域を拡張したガンマ型MnO2においては、酸性環境中の安定性が飛躍的に向上し、100mA/cm2の電流密度の環境でも長期間安定的に水を電解できることを確認した。以上は、本課題提案の「Mn3+の電子状態の制御による活性・安定性の向上」を、実証した結果といえる。オペランド分光を用いた中間体以上は、本課題提案の「Mn3+の電子状態の制御による活性・安定性の向上」を、実証した結果といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、Mn酸化物の構造歪みを制御することにより、触媒の安定性を飛躍的に向上できることを示した。これは、本課題提案の「Mn3+の電子状態の制御による活性・安定性の向上」を、実証した結果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
更なるMn酸化物に構造歪みを制御する手法として、高温電析技術を用いる。これにより、Mn酸化物が持つ機能を最大限に引き出し、活性と安定性を備え持つ水電解触媒の創出する。
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