研究課題/領域番号 |
18H02075
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
棟方 裕一 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (00457821)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 蓄電池 / 単粒子評価 / 応力測定 |
研究実績の概要 |
エネルギー密度と出力密度に優れ、かつ高い安全性を有する次世代リチウム二次電池の実現には、これまでの平衡論を主体とした検討に速度論的な議論を加えた高精度な電極設計が求められる。本研究の目的は、長寿命で安全な電池を設計する上で最も重要な速度論的パラメータの一つである充放電に伴う電極活物質の膨張収縮応力を明らかにすることである。本年度は、電極活物質粒子1つを対象に充電や放電に伴う膨張収縮応力を計測できる集電プローブシステム(初年度に開発)にさらなる改良を加え、計測システムとしての成熟を図った。計算機シミュレーションを応用した発生応力の可視化は特に功を奏し、測定感度の向上に有効な集電プローブの設計を明確にできた。また、実際に本知見に基づいて新たな集電プローブの開発を進め、高い測定感度と再現性を実証できたことは大きな進展である。現在のリチウム二次電池の入出力特性は電極内のイオン伝導性に支配されていると考えられていることから、本研究では膨張収縮応力に加えて電極活物質内のイオン伝導性を評価対象としてきたが、新規の電極材料にも対応できる広範な電極設計やマグネシウム二次電池などの次世代電池の開発への展開を踏まえて、電子伝導性の評価にも着手した。測定上求められる計測感度や集電プローブの改良は明確にできており、次年度開始時すぐに試作と検証に円滑に進められる状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はほぼ計画通り研究が進捗していたが、コロナウイルスの影響で大学への入構および研究の実施に制限が生じたため、年度末に取り組む予定であった一部の研究内容に着手できない状況となった。研究成果の外部発表も予定していたが、コロナウイルスの終息が見通せない状況であるため、先送りとなった。
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今後の研究の推進方策 |
リチウム二次電池の多孔質電極を精密に設計する上で電極活物質の電子伝導性の理解も必要となる。そこで単粒子計測用のピンセット型集電プローブに電極活物質の電子伝導性を評価するための改良を加える。基本設計を既に本年度中に終えているため、早急に本プローブを作製して評価を進める。電極活物質の膨張収縮応力、イオン伝導性にこの知見を加味しながら長寿命で安全な電池を実現できる多孔質電極の設計に取り組む。
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