研究課題/領域番号 |
18H02087
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山吉 麻子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (70380532)
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研究分担者 |
芦原 英司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70275197)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エクソソーム / 核酸医薬 / DDS |
研究実績の概要 |
今年度はTNBC亢進性ノンコーディングRNAに対する ExomiR-Tracker の分子構造の最適化について主に行った。 (a)TNBC 治療用標的miRNAの選定:TNBCから分泌されるエクソソームからノンコーディングRNAを抽出し、RT-PCRを用いて発現量解析を行った結果、miR21を標的miRNA とすることに決定した。 (b)(a) で選定された標的miRNAに対するanti-miR核酸の合成、化学構造の最適化:標的ノンコーディングRNAとの結合能の向上を目指し、人工核酸であるLNAや2'-OMe型RNA などの導入を行った。種々検討を行った結果、2'-OMe型RNA と LNA のキメラマーが最適であることが判明した。 (c)TNBC由来エクソソームの標的表面抗原の選定:本法ではエクソソーム表面抗原を認識する抗体を使う必要がある。現行のExomiR-Tracker(口腔上皮がんに対し効果あり)では anti-CD63抗体を採用しているが、TNBC乳癌から分泌されるエクソソームに対しても anti-CD63抗体を用いることでanti-miR核酸が送達出来るかどうか確認した。その結果、 anti-CD63抗体がTNBC乳癌への核酸医薬送達においても最適であることが確認された。 (d)anti-miR核酸と抗体結合部位のリンカーの化学構造の選定:上記項目にて選定されたanti-miR核酸と抗体を結合するリンカーの化学構造の最適化を行った。これまでにアルギニンリンカーを用い、口腔上皮がん細胞の増殖抑制に成功しているが、anti-miR 核酸との複合体形成効率をさらに向上させるために、分岐型アルギニンを採用した。その結果、従来の直鎖型アルギニンリンカーと比較し、細胞内移行性が有意に向上することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は研究室の異動があり、その立ち上げにやや時間がかかったものの、申請当時に計画していた項目については概ね達成出来たと考える。
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今後の研究の推進方策 |
in vitro ならびに培養細胞系において ExomiR-Tracker の分子構造の最適化が概ねなされたため、今後は in vivo での有効性評価を重点的に行う。このためにまず、TNBCモデル動物の構築と、ExomiR-Tracker による腫瘍増殖・転移能に対する抑制能の評価を行う。既に各々の研究機関における動物実験計画申請ならびに遺伝子組換え実験申請において承認を得ており、数種類の TNBC移植マウスの作成を試行している。IVIS を用いた in vivo イメージングにも着手している。また、TNBCに加えて、肺がんなど他の疾患モデルマウスの構築も並行して進めていく予定である。
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