研究課題
本研究では、光増感剤とペプチド/タンパク質を組み合わせた機能性光増感ペプチド(FPP)を開発し、細胞機能を光で時空間的制御して観察する技術を確立する。 FPPは光依存的に細胞質内に入っていく分子である。 本研究ではFPP開発とともに、FPP技術の生殖・発生・細胞分化への応用を進めている。2021年度は以下に取り組んだ。細胞周期に合わせた一過的分子導入法の確立と、細胞内イベントの光誘導への応用に関しては、前年度までにFPPを用いたアポトーシスの光誘導を題材として本技術を確立した。本年度は、この技術を細胞分化の光誘導に応用することを目指し、FPPを用いたRNAの導入に基づいて培養細胞の細胞分化の光誘導に取り組んだ。具体的には、miRNA導入に基づく骨芽細胞の分化誘導系を立ち上げた。また、FPPを用いたCa2+オシレーションの誘導に基づく人為的卵活性化にも取り組んだ。Ca2+オシレーションに関わるIRBITを標的とするshRNAをFPPを用いて細胞内導入したところ、わずかにCa2+の上昇がみられたが、明確なオシレーションを誘発するには更なる条件検討が必要であった。さらに、マウスの卵細胞・初期胚を用いた初期発生のFPPによる時空間制御に取り組んだ。発生を追跡するうえで、本手法で処理した胚の発生が途中で止まる割合が多いことに前年度気付いた。そこで本年度は、本手法によるRNA導入の効率を下げることなく胚のダメージを減らすような条件を検討し、低ダメージで照射部位特異的なRNA導入と標的のノックダウンが可能になった。細胞分化の時空間的制御については、引き続き検討が必要である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
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10.1038/s41598-021-94249-7
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