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2020 年度 実績報告書

リアクティブ分子標的薬による植物ホルモン共受容体のPPI制御

研究課題

研究課題/領域番号 18H02101
研究機関東北大学

研究代表者

高岡 洋輔  東北大学, 理学研究科, 准教授 (80599762)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードケミカルバイオロジー / 植物ホルモン
研究実績の概要

本研究では、植物の生長・分化などを司る植物ホルモンの活性を解析・制御する新技術として、アミノ酸選択的な反応基を導入した「リアクティブ分子標的薬」を開発する。植物ホルモンは多くの場合、2種類のタンパク質間相互作用(PPI)を誘起することでその活性を示すが、共有結合形成によって一部のPPIのみを選択的に誘導させることで、植物ホルモンの望みの活性のみを引き起こすことを目指す。本手法は、植物種を超えて様々な植物ホルモンの活性制御を実現する新たな化学的戦略として、食糧問題の解決に貢献しうるのみならず、医薬品の重要なターゲットでもあるPPI創薬にも直結する点で、多くの創薬研究のブレークスルーになると期待される。 これまでに、植物免疫や生長を司る植物ホルモン、ジャスモン酸の共受容体として、ユビキチンリガーゼのCOI1と転写リプレッサーであるJAZの共受容体を標的に据えて検討を行なってきた。JAZには13種類のサブタイプが存在し、そそれぞれの下流で転写因子を制御しているが、遺伝的に重複性が高く制御メカニズムには不明な点が多く残されている。前年度までに、JAZサブタイプへの変異導入と、これに選択的なリアクティブリガンドを開発し、試験管レベルで特異的なPPI誘導を引き起こすことを示したので、今年度はこの系に必要な変異植物体を複数種類、遺伝子組み換え技術を駆使して調整するとともに、実際に植物個体での検討を行った結果、植物体内でも任意の特定JAZサブタイプを選択的に制御可能であることを示唆する結果を得た。今後はさらに、特定のJAZサブタイプの下流で起こる生理現象について解析を行い、各遺伝子が制御する現象の解明に向けて検討を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度までに目下の目標であった、植物体内で本系の選択性・有効性を実証することに成功し、原理検証の達成までこぎつけた。チャレンジングな内容ではあったが、概ね順調に進展していると考えられる。今後はさらに、各遺伝子が制御する下流の応答を解析することで、遺伝的重複性の高い遺伝子の解析をケミカルで実証する初の例として検討を重ねる。

今後の研究の推進方策

今後は、標的遺伝子が実際に植物体内で制御する生理応答を、網羅的な遺伝子発現解析や表現型解析で観察し、遺伝的重複性の問題をケミカルツールで解消できるか、検討を行う。このためのown promoter下流で発現調整された、変異導入された標的タンパク質を発現する植物体の調整を行い、本系の更なる有効性の実証を目指す。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Ligand?receptor interactions in plant hormone signaling2021

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Jun、Fukui Kosuke、Seto Yoshiya、Takaoka Yousuke、Okamoto Masanori
    • 雑誌名

      The Plant Journal

      巻: 105 ページ: 290-306

    • DOI

      10.1111/tpj.15115

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hoechst-tagged Fluorescein Diacetate for the Fluorescence Imaging-based Assessment of Stomatal Dynamics in Arabidopsis thaliana2020

    • 著者名/発表者名
      Takaoka Yousuke、Miyagawa Saki、Nakamura Akinobu、Egoshi Syusuke、Tsukiji Shinya、Ueda Minoru
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 5333

    • DOI

      10.1038/s41598-020-62239-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ジャスモン酸関連転写因子選択的なステープルJAZペプチドの開発2021

    • 著者名/発表者名
      高岡洋輔、鈴木華穂、上田 実
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会
  • [学会発表] ジャスモン酸イソロイシンラクトンのトマトにおける生理活性評価2021

    • 著者名/発表者名
      齊藤里菜、加治拓哉、安部 洋、山神壮平、高岡洋輔、上田 実
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会
  • [学会発表] コロナチン立体異性体ライブラリースクリーニングによる植物ホルモン受容体サブタイプ選択的リガンドの開発2021

    • 著者名/発表者名
      林 謙吾、加藤 信樹、野本 春菜、中山 美涼、加治 拓哉、渡部 楽、齊藤 里菜、高岡 洋輔、宮本 皓司、稲垣 秀生、岡田 憲典、上田 実
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会
  • [学会発表] コロナチン立体異性体の合成と受容体サブタイプ選択的リガンドの作用機序解析2021

    • 著者名/発表者名
      野本 春菜、林 謙吾、加藤 信樹、加治 拓哉、渡部 楽、高岡 洋輔、上田 実
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会
  • [学会発表] 植物転写因子の化学制御2021

    • 著者名/発表者名
      高岡 洋輔
    • 学会等名
      日本農芸化学会2021年度仙台大会 第28回フロンティアシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] ジャスモン酸関連転写因子を阻害するステープルJAZペプチドの合理的設計と植物個体内機能解析2020

    • 著者名/発表者名
      高岡洋輔、鈴木華穂、Ika Nurul Azizah、上田 実
    • 学会等名
      第14回バイオ関連化学シンポジウム
  • [学会発表] コロナチンの立体異性体ライブラリースクリーニングによる植物ホルモン受容体サブタイプ選択的リガンドの開発2020

    • 著者名/発表者名
      林 謙吾、加藤信樹、渡部 楽、高岡洋輔、野本春菜、中山美涼、宮川咲季、宮本皓司、稲垣秀生、岡田憲典、加治拓哉、上田 実
    • 学会等名
      第62回天然有機化合物討論会
  • [学会発表] 植物ホルモン受容体サブタイプ選択的リガンド開発を志向したコロナチンの立体異性体ライブラリー戦略2020

    • 著者名/発表者名
      林 謙吾、加藤信樹、渡部 楽、宮本皓司、稲垣秀生、岡田憲典、齊藤里菜、山神壮平、野本春菜、中山美涼、加治拓哉、上田 実
    • 学会等名
      第31回万有仙台シンポジウム
  • [学会発表] ジャスモン酸関連転写因子選択的なペプチド型阻害剤の開発2020

    • 著者名/発表者名
      高岡洋輔、鈴木華穂、上田 実
    • 学会等名
      本農芸化学会東北支部 第155回大会
  • [図書] Fluorescence anisotropy-based comprehensive method for in vitro screening of COI1-JAZs agonist/antagonist Jasmonate in Plant Biology`, Antony Champion & Laurent Laplaze (Eds)2020

    • 著者名/発表者名
      Y. Takaoka, K. Hayashi, K. Suzuki, I. N. Azizah, M. Ueda
    • 総ページ数
      145-160
    • 出版者
      Methods in Molecular Biology

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公開日: 2021-12-27  

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