研究課題
本研究では、組織透明化に適した種々の染色手法を確立することで、次世代の3次元神経病理学を実現することを目的としている。特異的染色技術による3次元神経病理学を確立するためのアプローチとして、免疫組織化学的染色法と低分子蛍光プローブによる染色手法が挙げられる。後者は抗体に比べて拡散係数も高く、有機合成化学による機能化も容易であることから、比較的大きなヒト脳組織への拡張性が期待できる。しかしながら、現在までに開発された全ての透明化手法において、蛍光プローブの応用性は極めて限定的であり、未だに核染色剤や一部の蛍光色素しか適用できていない。以下にヒト組織と蛍光プローブの課題を示す。課題1:現行の透明化手法で生じるヒト脳組織の褐変による低い可視光透過率課題2:リポフスチンや残留血液などによる広い波長領域における強度の自家蛍光課題3:透明化処理中の屈折率調整過程における蛍光プローブの解離課題4:透明化処理過程により蛍光プローブの染色パターンが劇的に変化これまでに課題1・2を克服した新規透明化プロトコールを開発した。また、課題3・4の克服に取り組み、透明化条件において特異的な染色パターンを示す蛍光プローブの染色プロファイリングを実施した。屈折率調整による染色色素の解離を防止するために、染色後にホルマリンによる追加固定が可能なアミノ基を有する蛍光色素のスクリーニングを行った結果、神経細胞の胞体や残留血液成分、軸索、老人斑などに特異的なケミカルプローブの探索に成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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